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さて、最近の出版事情についてカンタンに、しかもわたしが知っている範囲(狭いとは思いますが・・・)でご説明させていただきます。
数十年前の景気の良かった時代とは違って、本は売れない時代になってきたといわれています。いや、実際には売れる本は売れるけれど、売れない本はまったく売れないという
本の差別化が進んだ時代になったんだと思います。(差別化、という言葉はここでは良い意味で使っていますのであしからず☆)それこそ、
「世界の中心で、愛を叫ぶ」は300万部売れたけれど、他の本は1万部も売れなかった・・・ということが、今は普通に起こっています。その売れる、売れないの差は、もちろん
中身の面白さもあるでしょうが、どうも話題性にも左右されているような気がします。これは、最近の日本人の傾向なのでしょうが、みんなで同じ服装・
同じ化粧・同じことを勉強し、周りで話題になっていることを知っておかないといけない、という一種強迫観念にもちかいような現象が起きているせいもあるかと思います。ちょっと話が
かたくなってしまいましたが(^^;)まあ、中にはわたしのようにひねくれ者は「話題になっているものは手をつけない」という方も多いでしょうけどね☆(余談ですが、わたしは
ランキングに乗っている本などは実はちゃんと読まないタイプです。なんか手がでないんですよね〜)
あ、最近の日本人思想はおいといて(^^;)最近の本は売れる本と売れない本がはっきりわかれてきた上に、必ず売れるという保障のある本は、ほとんどないと
思ってもいいくらいだと思います。もちろん、ベストセラー作家の本は売れます。でも、それは、予想範囲内での売れ方でしかないんです。ですから、出版社の方も「この作家は売れるから
これくらい刷っても大丈夫」という計画があるのだと思います。ええ、ここからが本題です(笑)。そんな売れる本と売れない本がはっきりしており、しかもなにが売れるか予想つかない
近年は、初回に刷る冊数は、大体8千部〜1万部くらいなものだそうです。ちなみに、あのセカチューも最初は8千部しか作られなかったそうです。まあ、当時は
知名度も低く、どちらかというと売れない本の部類にいたと思います。それを、ここまでの大ヒットにしたのは、書店の担当者の力であり、話題性だったのだと思います。あ、イカン。また
話がそれた(^^;)ですので、ベストセラー作家だと、その倍くらいは初回に作っていると思います。それでも全国の書店に配本することを考えれば、少ない数だとは思います。「わたしの
近所の本屋にはなかなか新刊が入ってこない!」と嘆かれているあなた、その本はもしかしたら、初回に8千部くらいしか作っていない本で、売上げの低い店には回ってこない本なのかも
しれません。なので、初回は無理でも追加では入荷できると思いますので、ぜひその本屋で注文して下さい(笑)
さて、上記で(かなり脱線しながらでしたが)最近の出版事情について説明させていただきました。で、それをどのような基準で全国の書店に配本されているのかを、これまた
カンタンに説明したいと思います。
基本的に、大手出版社の場合(ここでは名前は挙げませんが・・超有名出版社とおもってください)、本の配本は過去実績による配本なので、過去同じような本が売れている書店なら
そこそこ入荷してきます。なので、書店側からの「この本は●冊入れてほしい」という希望数は、ほとんど聞いてもらえません。(もちろん例外はありますよ)後、本にもよりますが、
全国発売日から追加発注OKになることが多いので、追加発注の電話をしても「品切・重版未定です」といわれることも多いです。新刊の在庫は、不良品
(いわゆる乱丁と呼ばれる本。本のページが入れ替わっていたり、ひどく汚れていたりする)のための交換用においてあるだけ、というのも良く聞きます。ですので、著者があまり有名で
なく、しかもその種類の本があまり売れていない書店だと本を入手すること自体が難しい場合もあると思います。
でも、中堅どころの出版社になると、配本指定を聞いてくれるところも多く、書店にとっては、注文した数が必ず入荷してくるので、売り場も作りやすくお客様に
告知もしやすくなります。ちなみに、私の毎月の仕事の中にはこの配本指定を各出版社に依頼するというものがあります。配本指定が聞かない出版社については各取次さんに手配をお願いする
のですが、配本指定がきくところには、一社一社電話して「配本指定が間に合うか」などの交渉(?)をしなくてはなりません。ここだけの話、結構苦痛(笑)。いや、場合によっては20社以上に
電話するはめになるので、最近は「絶対ここの出版社さんは間に合う!」とおもうところには、そのままFAXで依頼してたりします。いつもお世話様です・・・(^^;)
あ、また話がそれた。で、何を言いたかったのかというと、つまり出版社・初回に刷った部数・過去実績により、書店に発売日に入荷してくるかこないかが決まってしまうんですよ。
もちろん、初回の部数を多く刷っている本なら、ほとんどの書店に入荷してくると思います。でも、そうではない、たとえば新人作家だったり、その書店であまり売れていない出版社の本だったり
すると、入荷してこない可能性が高いわけです。でも、追加注文では、時間がどれだけかかるかはわかりませんが、注文した書店にいつかは本が入荷してきますので、それを待ってみるのもいいかも
しれませんよ?(おい)
あ、補足ですが、書籍(文芸書や文庫など)の配本は出版社が「●●書店にはこの数を配本してね」という指定が出来ますが、雑誌の場合、ほぼ不可能です。雑誌こそ、売れ数に応じた配本を
されるので、先月まで入荷してきた雑誌が、いきなり配本なくなる、なんてこともよくあります。まあ、売れてれば問題ないんですけどね(^^;)あ、そしてもう一つ。大手出版社や
書店が配本指定をしていない出版社の配本数は、大体取次さんが決めてます。出版社から「君のところには全部で5千部入れるから、それをうま〜く全国の書店に配ってね〜♪」という感じで
本が取次さんの倉庫に入荷し、それを過去実績に応じて配本しているようです。で、力の強い書店は取次さんに働きかけて、本を多く配本してもらうということもしているようです。(でも、その場合
取次さんに入ってくる本の数は決まっているわけなので、どこかの書店に配本する数を減らして大手書店に配本する、という方法になってしまいます。そして、私の店は配本を減らされたクチさ・・・)
結局、弱肉強食ってことですね(^^;)