本屋のつぶやき

本屋のしごと・実践編〜耽美で売り上げを上げる方法@・準備編〜



『耽美』というジャンルについて

さて、いきなりですが、なつの本領発揮です(笑)いや、ちょっぴりうそです。
でも、過去に実際にわたしが書店の1スパンの売り上げを倍に伸ばした方法などをご紹介いたします。(あ、このページは 書店のしごとについて理解している、もしくは従事しているあなたに向けてのものなので、専門用語(という ほどのものではないですが)が出てきますので、ご了承下さいませ☆
さて、まずは『耽美』についてカンタンな説明です。(書店のかたはもうわかっていらっしゃるとは思いますがまあ一応)『耽美』とはいわいる 男同士の恋愛を題材にしたもので、小説からコミックまで含めた総称です。本の形態が文庫だろうが新書だろうが、はたまた マンガだったとしても、その内容が男同士の恋愛を描いたものなら、全て「耽美」になるわけです。(ちなみに綺麗(笑)な言い方をすると、『ボーイズラブ』とも言います)
今、実はかつてないほどの『耽美』ブームなんです。ここ数年の間に、さまざまな出版社がこの『耽美』業界に参入してきています。いまや、本は売れるものと売れないものの差が激しいとは 言われていますが、『耽美』はいまだ出せば売れる状態だからです。(とは言っても、最近は売れ方に差が出てきているのは事実・・・)
あ、ここでひとつ重要な問題です。「男同士の話なんて気持ち悪くていやだ〜!」とおっしゃるそこのアナタ!違うんです!『耽美』とはその名の通り最高に美しい物語 なんですから(笑)。まあ、それは極端だとしても、わたしは『耽美』を究極の恋愛物語だと思っています。よ〜く考えてみてください。恋愛ストーリーというのは 得てして愛し合う二人に襲い掛かる困難を乗り越えて結ばれるのが王道ですよね?耽美も一緒です。しかも男同士ということで、始めからとてつもない困難があるわけですよ。普通に考えれば 堂々と愛し合うことの出来ない関係なのに、それを乗り越えて結ばれハッピーエンドを迎えるんです、ほら、究極じゃないですか?(笑)しかも、小説やマンガを見てみればわかりますが、実際の 男性には必ずあるであろう体毛の描写もなければ、実際にはかなりの苦痛を伴うであろう性交(慣れれば大丈夫らしいですが・・・そこまでが大変なのだとか☆)もとても気持ちよさそうに(笑) されているわけですよ!まあ、中にはリアリティあふれる作家もいらっしゃいますが、大体はそんな感じです。要は耽美は御伽噺、もしくはハーレクインのようなものなんです。(これ重要です!)
ですので、今まで「男同士なんて・・・」と思って苦手意識があった方は、その先入観をのけて一度見てみてください。案外ハマるかもしれませんよ?(笑)


『耽美』が売れる店とは?

さて、ここからは「じゃあ、耽美を置いてみてもいいけど、うちの店で売れるのかな?」という書店へのアドバイスです。(いや、そんなたいそうなものではないですが(^^;)) わたしが何店舗かで感じた、『こういう店なら耽美を展開すれば売れる』という条件をこっそりお教えします(笑)。
その@:ハーレクインロマンス系の小説が売れている。
そのA:いわゆるティーンズ文庫が売れている。(しかも女の子向け)
そのB:コミックなどの軽めの本が充実している。
そのC:マニアなお客様が来る。
とりあえず、最後の項目は置いといても(苦笑)、上記3つが当てはまっていれば、あなたの店は耽美が売れる可能性大です!特に、ハーレクイン読者とは、実は客層と年齢層が 同じである場合が多いので、要注意です。後、ティーンズ系の文庫(ビーンズ文庫やコバルト文庫など)が売れている店も、間違いなく耽美が売れる店です。(とはいっても最近のコバルトは半分以上がボーイズラブ(笑)を 題材にしているので同じといえば同じなんですけどね☆)そして、3番目は、やはり専門書などが多く置いてある書店よりは、若者が多く立ち寄る店のほうが、売れる確立は高いと思います。そういう店は雰囲気に耽美が合わない ということもありますが、耽美のような本を買える雰囲気がないと、やはり厳しいと思います。そして、全ての条件をクリアできるお店は耽美を展開すれば売れる可能性大ですよ!
そして、最後になりますが、耽美の展開場所についてですが、出来るだけ入り口から遠い場所がオススメです。耽美を買うお客様は他人の目を気にしがちです、実際はそんなに見られていなくても 誰かの視線が常にあると逃げてしまいます。ので、あまり周囲から見えやすい場所は避けたほうがいいでしょう。そして、耽美はコミックやティーンズ文庫の近くに展開するのがベストです。売り場に改造の余地があれば ティーンズ文庫から耽美文庫、そして耽美新書、耽美コミックという流れを一列にして展開すれば、尚良いです。(実際これをやっている店舗がうちの会社内でありますが、凄く圧巻です。 そして売り上げも順調に伸びています。・・・恐ろしや☆)展開規模は最低文庫・新書あわせて1スパン、少し余裕があれば新書1スパン・文庫1スパンくらいあれば大丈夫です。但し、よほどのそういう専門店でないかぎり 新書・文庫とも各2スパン以上の展開はあまるオススメしません。2スパン以上在庫を持ってしまうと、やはり売れない本までを在庫として持たなくてはいけないことになりますので、その規模にあった売り上げはあまり 見込めないでしょう。(但し、展開しだいでは、伸びる可能性もあります・・・難しいところですが(^^;))
さて、場所が確保できたら、次は品揃えですね・これにも実はポイントがありますが・・それはまた次回に(笑)。
ぜひ、次回もお楽しみに!(って、一体なんの番組のつもりだろう・・・(苦笑))



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